病気と生きる日々の自己管理：負担を減らし、自分らしいペースを見つける体験談
病気という状況は、私たちに様々なストレスをもたらします。特に、日々の生活の中で欠かせない「自己管理」が、時に大きな負担となることもあるのではないでしょうか。投薬、体調の記録、食事や運動の制限、定期的な通院や検査。これらが積み重なると、管理すること自体に疲れてしまう日もあるかと思います。
この記事では、私自身が病気による日々の自己管理をどのように受け入れ、ストレスを軽減しながら生活の一部として取り入れていったか、その体験談を共有させていただきます。もし今、自己管理に疲弊している方がいらっしゃいましたら、私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。
病気判明と直後の感情：増える「やること」への漠然とした不安
病気が判明した時、まず感じたのは診断名へのショックや、今後の治療に対する不安でした。しかし、それと同時に、医師から説明される「今後の生活で気をつけること」や「毎日必ず行ってほしいこと」を聞いて、漠然とした重圧も感じていました。
毎日の投薬、副作用のチェック、食事の記録、定期的な運動の必要性...。それまでの私は、自分の体調に対してそれほど気を配るタイプではありませんでしたから、「これから毎日、こんなにたくさんのことを管理しなければならないのか」と思うと、それ自体が新たなストレスのように感じられたのです。治療に対する不安に加え、将来にわたって続くであろう「自己管理」というタスクが、私をさらに落ち込ませました。
具体的なストレスとその向き合い方：完璧主義が招いた疲弊
病気によって生じた自己管理の中で、私が特にストレスを感じたのは以下の点でした。
- 投薬: 毎日決まった時間に薬を飲むこと。飲み忘れてしまった時の強い後悔や不安。
- 体調記録: 毎日の体温や血圧、症状などを記録すること。記録漏れがあると「自分はダメだ」と自己嫌悪に陥る。
- 生活習慣の調整: 食事内容の制限や、推奨される運動を毎日続けること。外食が難しくなったり、疲れて運動できなかったりすると、自分を責めてしまう。
- 情報収集: 自分の病気について調べ、治療や生活の情報を得ること。情報の多さに圧倒され、何が正しいのか分からず混乱する。
これらの自己管理を「病気を治すため、悪化させないための絶対に必要な義務」だと捉えすぎていたため、一つでもおろそかにすると強いストレスを感じていました。完璧にこなさなければ、というプレッシャーが常にあり、そのプレッシャーが私を疲れさせていたのです。自己管理のための時間を捻出することも大変で、以前のように自由に使える時間が減ったことにもストレスを感じていました。
克服・軽減の道のり：完璧を手放し、「自分を労わる行為」として捉え直す
このような状況から抜け出すために、私はいくつかのことを試しました。
まず、「全てを完璧にこなす必要はない」と考えるように意識を変えました。自己管理の目的は、あくまで「自分の体調を良好に保つこと」であり、管理そのものが目的ではない、と自分に言い聞かせたのです。例えば、体調記録は毎日完璧につけられなくても、週に数回でも良い、とハードルを下げました。飲み忘れ防止には、スマートフォンのリマインダー機能や服薬管理アプリを活用しました。テクノロジーに頼ることで、自分で覚えていなければ、というプレッシャーが減りました。
次に、自己管理を「義務」ではなく「自分を大切にする行為」として捉え直すようにしました。薬を飲むことは、自分自身の体を労わり、未来の自分を助けるための行為。体調を記録することは、自分の体の声に耳を傾け、変化に気づくための行為。このように意識を変えることで、少しずつ自己管理に対するネガティブな感情が薄れていきました。
また、他の患者さんの工夫を参考にしたり、医師や看護師に相談したりすることも有効でした。自分一人で抱え込まず、他の人のやり方を知ることで、「こういう方法もあるのか」「自分に合ったペースで良いんだ」と気づきを得られました。コミュニティサイトで同じような悩みを抱える人の投稿を読むことも、孤独感を軽減し、前向きな気持ちになる助けになりました。
そして、小さな成功体験を積み重ねることも重要でした。例えば、「今日はちゃんと薬が飲めた」「少しだけ運動できた」といった小さなことでも、達成感を感じ、自分を褒めるようにしました。これにより、自己肯定感が少しずつ回復し、自己管理に対するモチベーションを維持できるようになりました。
現在と読者へのメッセージ：自分に合ったペースを見つけることの大切さ
現在の私は、病気と共に生きる上で自己管理が欠かせないものであることを受け入れ、以前ほど負担に感じずに取り組めるようになりました。もちろん、体調や気分によってはうまくいかない日もありますが、そんな時は自分を責めすぎず、「まあ、こんな日もあるよね」と受け流せるようになりました。
自己管理は、病気と向き合う私たちにとって、終わりなき課題のように感じられるかもしれません。しかし、それは自分自身の体や心と丁寧に向き合う時間でもあります。全てを完璧にこなそうとせず、自分に合ったペースや方法を見つけること。そして、うまくいかない日があっても自分を責めず、優しく労わってあげることが何よりも大切だと感じています。
もし今、日々の自己管理に疲れを感じている方がいらっしゃいましたら、まずは少しだけ完璧を目指すことを手放してみてください。そして、自己管理を「自分を大切にする行為」として捉え直し、ご自身にとって無理のない、続けられる方法を探してみてください。あなたは一人ではありません。自分自身のペースで、一日一日を大切に過ごしていきましょう。