ストレスとの声、みんなの体験談

病気が教えてくれた、身体の声を聞くことの大切さ:不調と向き合い、自分を労わる道のり

Tags: 病気体験談, ストレス克服, 自己管理, 体調管理, 心の整え方

ストレスと身体の声に耳を澄ませる旅

病気を抱える日々のなかで、ストレスや不安とどのように向き合えば良いのか、一人で悩んでいらっしゃる方もいるかもしれません。私自身も、病気と診断されてから、これまで経験したことのない様々なストレスに直面しました。この記事では、私が病気を経験する中で気づいた「自分の身体の声を聞くこと」の大切さについて、私の体験談をお話しさせていただければと思います。同じような状況にある方にとって、少しでも共感やヒントになれば幸いです。

病気の診断、そして変わった身体への意識

病気が判明した時のことは、今でも鮮明に覚えています。医師から病名を告げられた瞬間、頭が真っ白になり、これからどうなるのだろうかという強い不安に襲われました。治療のこと、仕事のこと、将来のこと。様々なことが一気に押し寄せてきて、途方もないストレスを感じたのを覚えています。

診断を受けるまで、私は自分の身体からのサインにあまり注意を払ってきませんでした。多少の不調があっても、「大丈夫だろう」「気のせいだろう」と見過ごしてしまうことが多かったのです。しかし、病気になったことで、身体は思っている以上に繊細であり、日々のケアが必要であることを痛感させられました。

診断直後は、病気そのものへの不安に加え、身体の不調がいつ起こるか分からないことへの恐れがありました。小さな痛みや疲労感にも敏感になり、「これは病気の進行なのだろうか」「悪化しているのではないか」と、常に身体のことで頭がいっぱいになってしまいました。これが、当時の私にとって大きな精神的なストレスでした。

身体のサインと向き合う難しさ

病気によるストレスは、単なる精神的な落ち込みだけではありませんでした。治療による身体的な負担、それに伴う疲労や倦怠感は、私の日常生活を大きく変えました。以前は難なくできていたことができなくなり、自分の思うように身体が動かないことへの苛立ちや、情けなさを感じることもありました。

特に辛かったのは、身体の不調を無視して無理をしてしまい、後で体調を大きく崩してしまうという経験を繰り返したことです。「これくらい大丈夫だろう」という過去の習慣が抜けず、頑張りすぎてしまうのです。そして、体調を崩しては自己嫌悪に陥り、「なぜ自分の身体はこんなに弱いのだろう」と自分自身を責めてしまいました。身体の不調が、そのまま精神的なストレスに直結している状態でした。

また、周りの人は元気なのに、なぜ自分だけがこんなに疲れているのだろう、なぜこの程度のことで休まなければならないのだろう、という「他人との比較」から生まれるストレスもありました。自分の身体が発する「休んでほしい」という声を聞くことに対し、抵抗感や罪悪感すら感じていたのです。

身体の声を聞き始めるということ

このような試行錯誤の中で、私は「自分の身体の声を聞く」ということを意識し始めました。きっかけは、ある日、無理がたたって寝込んでしまった時に、「このままでは駄目だ」と強く感じたことでした。これ以上、自分の身体を無視し続けては、病気と向き合っていくことはできない、そう思ったのです。

まずは、自分の身体がどのような状態にあるのか、小さな変化にも意識を向けることから始めました。具体的には、簡単な体調日記をつけるようにしました。その日の体調、疲労度、痛みの有無、そして「何をすると楽だったか」「何をすると辛かったか」などをメモすることで、自分の身体のリズムや限界を客観的に把握しようと試みました。

また、以前は「根性論」で乗り切ろうとしていた休息についても、意識的に取るようにしました。「疲れたな」と感じたら、短時間でも横になる、座る、深呼吸をするなど、その時の身体が求めることに応えるように心がけました。最初は「こんなことをしていて良いのだろうか」という罪悪感もありましたが、身体の声に応えることで、かえってその後の回復が早まることに気づき、徐々に罪悪感は薄れていきました。

これは、身体の不調を「悪いもの」として排除しようとするのではなく、「今の身体からのメッセージ」として受け取る、という考え方の変化でもありました。痛みや疲労は、私に「無理をしないで」「休んでね」と教えてくれているのだと考えるようになったのです。

ストレスとの付き合い方の変化

「身体の声を聞く」という意識を持つようになってから、私のストレスとの付き合い方は少しずつ変わっていきました。以前のように、不調に対して過剰に不安になったり、自分を責めたりすることが減りました。

体調が思わしくない時でも、「あ、今、身体が休んでほしいと言っているな」と冷静に受け止め、無理のない範囲でできることを選択できるようになりました。もちろん、全ての不調が改善するわけではありませんし、不安が全くなくなるわけでもありません。それでも、自分の身体の状態をある程度理解し、それに応じた対処ができるようになったことで、予測不能な不調に対するストレスは大きく軽減されました。

また、自分の身体を大切に扱うことは、自分自身を大切にすることに繋がっていると感じています。身体の声に耳を澄ませ、必要な休息やケアを与えることは、病気を抱える自分を認め、労わる行為そのものです。これにより、病気になってから感じていた自己否定感が和らぎ、少しずつ自分を受け入れられるようになっていきました。

これは、病気という状況下で、自分自身の身体と心との新しい関係性を築いていくプロセスだったのだと感じています。完璧ではなくても、自分の身体と対話し、その声に耳を傾ける努力を続けることが、病気によるストレスと上手く付き合っていくための大切な一歩になるのだと学びました。

今、そしてあなたへ

病気と向き合う日々は、平坦な道のりばかりではありません。今でも、体調の波に悩んだり、不安を感じたりすることはあります。しかし、「身体の声を聞く」という意識を持つことで、不調な時でも自分を追い詰めすぎず、少しでも楽になる方法を選択できるようになりました。

もし今、あなたが病気による不調や、それがもたらすストレスに悩んでいらっしゃるなら、無理に頑張ろうとせず、まずはご自身の身体の小さな声に耳を傾けてみてください。それは、「少し疲れたな」「少し休みたいな」といった些細なことかもしれません。その声に、できる範囲で応えてあげることから始めてみてはいかがでしょうか。

自分の身体と心は、病気と向き合うための大切なパートナーです。そのパートナーの声に耳を傾け、労わることは、自分自身を大切にすることに繋がります。焦らず、ご自身のペースで、身体の声を聞く練習をしてみてください。その一歩が、ストレスとの付き合い方を変え、日々の暮らしに穏やかさをもたらしてくれることを願っています。あなたは一人ではありません。共に、自分自身の身体と心を大切にしながら、この道のりを歩んでいきましょう。