病気になって感じた、「自分だけ違う」という感覚:周囲との間にできた心の壁をどう乗り越えたか
はじめに
このサイトをご覧になっているということは、あなたも今、病気による様々なストレスや不安を抱えていらっしゃるかもしれません。私も同じように、病気と診断された当初、様々なストレスに直面しました。その中でも特に私を苦しめたのは、「自分だけが周りの人と違う状況にいる」という感覚からくる孤立感や、それによって周囲との間に心の壁を作ってしまったことでした。
この体験談が、同じような悩みを抱えるあなたの心を少しでも軽くし、ご自身のストレスと向き合うヒントになれば幸いです。
病気判明と直後の感情
病気が判明した時、まず感じたのは強い衝撃と混乱でした。まさか自分が、という思いと同時に、これからどうなるのだろうという漠然とした不安が押し寄せました。特に辛かったのは、診断を受けた直後に友人や同僚と接した時のことです。彼らはそれまでと何も変わらず日常を送っているのに、自分だけが全く違う世界に足を踏み入れてしまったような感覚に襲われました。
「自分だけが病気になった」「自分だけがこの辛い状況にいる」という思いが頭から離れず、それまで当たり前だった日常から取り残されてしまったように感じました。
具体的なストレスとその向き合い方
病気による生活の変化は、私の「自分だけ違う」という感覚をさらに強くしました。
例えば、病気によって体力が低下し、友人との外出や趣味の活動に参加できなくなった時です。皆が楽しそうにしている様子を見るたび、「なぜ自分だけがこんな思いをしなければならないのか」という気持ちになり、疎外感を強く感じました。体調の良い日でも、いつ悪くなるか分からない不安から、積極的に人との関わりを持つことを避けるようになりました。
また、治療の副作用や体調の変動について、周りの人にどこまで話せば理解してもらえるのか分からないという悩みもありました。自分の状況を詳しく説明しても、健康な人には想像しにくいだろうと感じ、「どうせ理解してもらえないだろう」と諦めて、大切な友人や家族に対しても壁を作ってしまった時期がありました。彼らの「大丈夫?」という心配の言葉すら、時には「自分はもう普通の人間ではない」という事実を突きつけられているようで、素直に受け止められないこともありました。
このような状況が続くと、自然と人との距離ができてしまい、孤立感が深まっていきました。積極的にコミュニティに参加したり、新しい人間関係を築いたりすることにも億劫になり、「どうせ自分は皆とは違うのだから」と心を閉ざしてしまったのです。これは、病気そのものによる辛さとはまた違う、精神的な苦痛でした。
克服・軽減の道のり
「自分だけ違う」という感覚からくる孤立感と向き合うために、私はいくつか試したことがあります。
まず、自分の内面と向き合う時間を持つようにしました。なぜ、周りの人と違うと感じてしまうのか、その根底にある不安は何なのかを静かに考えるようにしたのです。そこで気づいたのは、「普通」という枠に囚われすぎていたこと、そして病気になる前の自分と比べてばかりいたということでした。自分はもう以前とは違う体調、違う生活になったのだから、周りと同じである必要はないのだと、少しずつですが考えられるようになりました。
次に、無理に周りに合わせることをやめました。体調が優れない時は正直に断る、参加できそうなイベントだけ選ぶなど、自分の体調と気持ちを最優先にするようにしました。最初は「わがままだと思われたらどうしよう」と不安でしたが、本当に大切な友人や家族は、私の状況を理解しようと努めてくれたり、私が参加できる形を一緒に考えてくれたりしました。全ての人が理解してくれるわけではないと割り切ることも、心の負担を減らす上で重要でした。
そして、同じ病気を抱える方々の体験談を読んだり、コミュニティに参加したりしたことも大きな支えになりました。私と同じように孤立感や「自分だけ違う」という感覚に悩んでいる人がいることを知り、「一人ではないのだ」と感じることができたのです。自分の抱えている具体的な悩みや不安を共有できる場所があることで、それまで誰にも言えずに抱え込んでいた気持ちを吐き出すことができました。専門的な情報交換だけでなく、こうした「気持ちの共有」ができる場所の存在が、私にとっては何よりも救いでした。
試行錯誤する中で、最も効果があったと感じるのは、「違うことは悪いことではない」と自分に許可を出せたこと、そして「無理に周りに溶け込もうとせず、自分らしい関わり方を探すこと」の大切さに気づけたことです。
現在と読者へのメッセージ
現在も、病気による体調の波や、周りの人との違いを感じる瞬間が全くなくなったわけではありません。しかし、「自分だけ違う」という感覚に囚われ、孤立する必要はないのだと思えるようになりました。人それぞれ、抱えているものや状況は違います。病気という大きな変化を経験した私は、確かに以前とは違う道を歩んでいますが、それは「劣っている」ということではなく、単に「違う」だけなのだと受け止められるようになりました。
周りとの間に心の壁を作ってしまう気持ち、よく分かります。周りは健康なのに、自分だけが治療や体調不良と向き合っている時、「どうして私だけが」と感じてしまうのは、とても自然なことです。自分を責めたり、孤立の中に閉じこもったりしないでください。
まずは、自分がそう感じていることを認めてあげてください。そして、ほんの少しでも良いので、信頼できる誰かに気持ちを打ち明けてみたり、同じ病気の方々が集まるコミュニティを探してみたりすることをお勧めします。あなたの抱える「違い」や不安を理解してくれる人は、必ずどこかにいます。
病気になっても、あなたはあなたのままです。周囲との違いを感じる時があっても、それはあなたが悪いわけではありません。どうか一人で抱え込まず、少しずつでも良いので、心を開ける場所や人を見つけてください。自分らしいペースで、安心して過ごせる場所が、きっと見つかるはずです。あなたの心が少しでも穏やかになることを、心から願っています。