ストレスとの声、みんなの体験談

病気で抱え込んだ「恥ずかしさ」と「誰にも言えない悩み」:内緒にしていたストレスとどう向き合ったか

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抱え込んだ「言えない悩み」と、心の負担について

病気と向き合う日々のなかで、身体的な辛さだけでなく、心にも様々な負担がかかると感じています。特に、周りの人には話しにくいと感じる悩みや、病気になったことへの恥ずかしさ、引け目のような感情を抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか。私も、診断を受けた当初から、そうした「誰にも言えない悩み」を一人で抱え込んでしまい、それが大きなストレスになっていました。

この記事では、私が病気によって感じた具体的なストレス、特に人には打ち明けられずに心に秘めていた悩みや羞恥心についてお話ししたいと思います。そして、そのストレスとどのように向き合い、少しずつ心を軽くしていったのか、私の体験をお伝えすることで、同じような状況にある皆さんに、何かしらの共感や、ストレスと向き合うヒントを提供できれば嬉しく思います。

病気判明と、同時に感じた「隠したい」気持ち

病気の診断を受けた時のことは、今でも鮮明に覚えています。告知された瞬間、大きな衝撃と同時に、すぐに「これをどうやって周囲に話そうか」「できれば誰にも知られたくない」という気持ちが湧き上がってきました。

当時感じたのは、病気になったこと自体への漠然とした恥ずかしさです。まるで自分が何か「普通」ではないものになってしまったかのように感じたり、健康であるべきなのに病気になってしまった自分には何か欠陥があるのではないか、と考えてしまったりしました。特に、見た目に変化が現れる可能性のある病気だったため、それが周囲に知られてしまうことへの恐れや、見られることへの抵抗感も強くありました。

また、将来への不安、治療への不安、仕事への影響など、具体的な悩みはたくさんあったのですが、それらを家族や友人に話すことで心配をかけてしまうのではないか、迷惑になるのではないかという懸念から、詳しい状況や自分の正直な気持ちを打ち明けられずにいました。結果として、心の中で様々な感情や悩みが渦巻き、一人で抱え込んでしまうことになったのです。

具体的なストレス:恥ずかしさと「言えない悩み」

病気と共に過ごす中で、私が特にストレスに感じていたのは、以下の点でした。

まず、「恥ずかしさ」です。病気の種類によっては、身体の機能に変化があったり、外見に目に見える変化が現れたりすることがあります。そうした変化を見られることへの抵抗感はもちろんありましたが、それ以上に、「病気である自分」を人に見せること、知られること自体に、根源的な恥ずかしさを感じていました。健康で活発だった頃の自分と比べて、思うように動けない身体や、治療による体力の低下を隠したくなり、つい無理をしてしまうこともありました。これは、「弱い自分」「完璧でない自分」を人に見られたくない、という気持ちの表れだったのだと思います。

次に、「誰にも言えない悩み」です。これは一つだけでなく、様々な種類の悩みが含まれていました。例えば、体調が優れない時に「大丈夫?」と聞かれても、「うん、平気だよ」と答えてしまう。本当は辛いのに、心配されたくない、余計な詮索をされたくない、という思いから正直に話せませんでした。また、治療費や今後の生活費に関する経済的な不安、仕事やキャリアをどうしていくかという現実的な悩み、将来に対する漠然とした恐れなど、具体的な問題であっても、「弱音を吐きたくない」「自分で解決しなければ」という思い込みから、誰にも相談できずに一人で考え込んでしまいました。打ち明けても、病気について正しく理解してもらえないのではないか、あるいは逆に過剰に心配されて、腫れ物のように扱われてしまうのではないか、といった恐れも、口を閉ざしてしまう原因でした。

これらの感情や悩みは、外からは見えません。そのため、周りからは元気に見えていると思われがちで、そのギャップもまた苦しさを増幅させました。一人で抱え込めば抱え込むほど、孤独感が強まり、心はどんどん重くなっていきました。

ストレスとの向き合い方:少しずつ手放していく道のり

一人で抱え込むことの限界を感じ始めたのは、心身の不調が隠しきれなくなった頃でした。無理に明るく振る舞ったり、体調が悪くても活動したりすることで、かえって体調が悪化したり、精神的に追い詰められたりすることが増えたのです。このままではいけない、何かを変えなければ、と強く思うようになりました。

まず試みたのは、信頼できる人に少しだけ話してみることでした。全てを打ち明ける勇気はまだありませんでしたが、本当に信頼できる家族や友人の中から一人か二人を選び、「実は今、こういう状況で…」と、差し障りのない範囲で、でも正直な気持ちの一部を話してみました。驚いたのは、相手が私の話を静かに聞いてくれ、寄り添ってくれたことです。想像していたような否定的な反応はなく、「そうだったんだね」「辛かったね」と共感の言葉をかけてもらえました。話せたこと自体が、心の重荷を少し軽くしてくれたように感じました。

次に、同じ経験を持つ人の体験談を読むこと、そして匿名で参加できるコミュニティを探すことを始めました。インターネットで自分と同じ病気を持つ人のブログや闘病記を読み漁りました。そこには、私が一人で抱え込んでいた「羞恥心」や「言えない悩み」が、率直に綴られていました。「自分だけではなかったのだ」という事実を知るだけで、どれほど心が救われたことか分かりません。その後、匿名で参加できるオンラインコミュニティを見つけ、勇気を出して自分の気持ちや悩みを書き込んでみました。顔も名前も知らない人たちですが、同じ病気、同じような悩みを抱えている皆さんからの温かいメッセージやアドバイスに触れることで、初めて「一人ではない」と心から感じることができました。

また、「言えない悩み」を言語化する練習も効果がありました。誰かに話す前に、ノートに自分の感情や悩みを書き出してみたり、心の中で整理してみたりする練習をしたのです。頭の中でぐるぐる考えているだけでは漠然としていた悩みが、言葉にすることで整理され、自分が何に悩んでいるのか、何にストレスを感じているのかを客観的に理解できるようになりました。悩みの種類や原因を理解するだけでも、漠然とした不安が和らぎ、コントロールできるような感覚を持つことができました。

そして、「恥ずかしい」と感じる自分を否定しないように意識しました。病気による変化や弱さを恥ずかしいと感じるのは、決して特別なことではなく、人間として自然な感情だと受け止めるようにしました。「病気になったからといって、自分の価値が変わるわけではない」と、繰り返し自分に言い聞かせました。完璧でなくても良い、できないことがあっても良い、と自分自身に許可を出すことで、少しずつ肩の力が抜けていったように思います。

どうしても精神的な辛さが強い時には、医療機関の相談窓口や、民間のカウンセリングサービスを利用することも検討しました。専門家は病気やそれによる心の負担について理解があり、客観的な視点から状況を整理し、アドバイスをくれました。安心して話すことができる場を持つことも、心を軽くするためには重要だと感じました。

現在の心境と、同じ悩みを抱える皆さんへ

現在、私は無理に病気や自分の正直な気持ちを隠すことをやめ、自分のペースで、正直に過ごせるようになってきました。もちろん、今でも全ての人に病気のことを話しているわけではありませんし、話せない悩みもゼロになったわけではありません。しかし、信頼できる人に話したり、同じ経験を持つ人との繋がりを持ったりすることで、「言えない悩み」を一人で抱え込むことはなくなりました。心に秘めていたストレスを少しずつ手放せたことで、以前より穏やかな気持ちで日々を過ごせています。

もし、今、病気になったことで誰にも言えない悩みや恥ずかしさを抱え込み、一人で苦しんでいる方がいらっしゃるなら、どうかご自身を責めないでください。人には言えない感情を抱えることは、決して弱いことではありません。それは、あなたが病気という状況に懸命に適応しようとしている証拠であり、とても自然なことです。

全てをすぐに打ち明ける必要はありません。まずは、ご自身の心の中で、その悩みや感情を認めてあげることから始めてみてはいかがでしょうか。「私は今、こういうことで悩んでいるんだな」「こういうことを恥ずかしいと感じているんだな」と、自分自身の心に寄り添ってみてください。そして、もし可能であれば、心を少しでも軽くする方法を試してみてください。それは、信頼できる誰かに話すことかもしれませんし、同じ経験を持つ人の声に耳を傾けることかもしれません。あるいは、ノートに書き出すことや、このサイトのような場で匿名で自分の気持ちを表現することかもしれません。

あなたは一人ではありません。同じように悩み、向き合っている人がここにいます。一人で抱え込まず、ご自身を大切にしながら、少しずつ心の重荷を手放していけることを願っています。