病気で活動が制限されたストレス：できなかったことへの喪失感と、自分らしい楽しみ方を見つけるまで
病気と診断され、治療を始めることになった時、健康に対する不安や将来への心配はつきものでした。私自身も、告知を受けた直後は、これからどうなるのだろうか、という漠然とした不安で頭がいっぱいでした。しかし、治療方針が決まり、少し落ち着いてきた頃に、別の種類のストレスを感じるようになったのです。それは、これまで当たり前のようにできていた活動や、楽しみにしていたことができなくなることへの喪失感からくるものでした。
病気がもたらした具体的な活動制限と喪失感
私の病気は、体力を著しく奪い、特定の身体活動を制限するものでした。診断前は、週末に友人と登山に出かけたり、趣味のスポーツを楽しんだり、長期休暇には旅行を計画したりすることが、私の生活にとって大きな喜びであり、活力源でした。
病気が判明し、医師から具体的な活動制限について説明を受けた時、私は愕然としました。「もう、あの山には登れないのか」「みんなと一緒に汗を流すことはできないのか」「楽しみにしていた海外旅行も難しいだろう」といった思いが次々と頭をよぎりました。
最初は「一時的なものだろう」と軽く考えていましたが、治療が続き、体力がすぐには戻らない現実を突きつけられるにつれて、それは深い喪失感へと変わっていきました。友人たちが活動を楽しんでいるSNSを見るたびに、羨ましさや置いていかれたような寂しさを感じ、落ち込むこともありました。
喪失感とストレスへの向き合い方、試行錯誤のプロセス
活動ができなくなったことによるストレスは、私の心に重くのしかかりました。何もする気になれず、家に引きこもりがちになり、さらに気分が落ち込むという悪循環に陥りました。以前は活動的だった自分が、急に何もできない存在になってしまったように感じられたのです。
最初は、病気になる前と同じように振る舞おうとして、無理をして体調を崩すこともありました。あるいは、以前できていたことばかりを考えて、「なぜ自分だけが」と塞ぎ込むこともありました。しかし、それでは心も体も疲弊するだけだということに気づきました。
ある日、本当に小さなことから試してみようと思い立ちました。それは、窓を開けて太陽の光を浴びながら、ベランダでハーブを育てることでした。大掛かりなことではなく、体力を使わない、ほんの少しの活動です。育っていくハーブを見ていると、小さな喜びを感じることができました。
次に、以前は時間がなくてできなかった「読書」に改めて時間を費やしてみました。物語の世界に没頭することで、現実の辛さを一時的に忘れることができました。また、病気に関する情報収集も、最初は不安を煽られるばかりでしたが、信頼できる情報源を選び、同じ病気を持つ方の体験談を読むことで、自分だけではないという安心感を得ることもありました。
ストレスとの付き合い方を変えたきっかけと効果
特に効果があったと感じるのは、「できないことリスト」ではなく、「今できることリスト」に目を向けるように考え方を変えたことです。以前は、病気になる前の「当たり前」と今の自分を比べて、できないことばかりを数えていました。しかし、小さなことでも「今の自分にできること」を見つけ、それを丁寧に行うことに意識を向けたことで、少しずつ自己肯定感が戻ってきたように感じます。
また、同じように病気で活動が制限された経験を持つ人たちのコミュニティに参加したことも大きな支えとなりました。自身の喪失感や焦りを正直に話せる場所があること、そして、他の人がどのように新しい楽しみを見つけているかを知ることは、私にとって大きなヒントと希望になりました。そこで出会った方々と、病気になる前とは違う、新しい種類の活動（オンラインでの交流や、体調が良い時に近所を少し散歩するなど）を一緒に楽しむことも増えました。
完璧に病気になる前の生活に戻ることは難しいかもしれません。しかし、活動が制限されたからといって、人生の楽しみがすべて失われたわけではないことに気づかされました。現在の自分に合った、新しい楽しみ方を見つけることは可能なのです。
現在の心境と読者へのメッセージ
病気による活動制限や、それによって生じる喪失感は、非常に辛いストレスだと思います。私も、完全に乗り越えられたわけではありませんが、以前のように「何もできない」と絶望することはなくなりました。体調と相談しながら、無理のない範囲で「今できること」を探し、それを楽しむ時間を持つことができるようになりました。
もし、あなたが病気によって好きな活動ができなくなり、同じようなストレスや喪失感を抱えているとしたら、あなたは一人ではないということをお伝えしたいです。焦る必要はありません。まずは、ご自身の心と体に優しく寄り添ってください。そして、もし少しでも余裕があれば、ほんの小さなことからでも構いませんので、「今の自分にできること」を探してみてください。
それは、新しい趣味かもしれませんし、短い時間の散歩かもしれません。あるいは、信頼できる人に話を聞いてもらったり、同じような経験を持つ人たちのコミュニティに参加してみたりすることかもしれません。大切なのは、完璧を目指すのではなく、自分に合ったペースで、今の状況の中で見つけられる「小さな喜び」に目を向けることだと思います。
失ったものに心を囚われず、今ある可能性に目を向けることで、きっと新しい光が見えてくるはずです。あなたの毎日の中に、少しでも心穏やかな時間が生まれることを願っています。