病気による睡眠の変化:眠れない夜がもたらした心の負担と、心地よい眠りを見つけるまで
はじめに
病気を抱えながら日々を過ごされている皆さま、心労の多いことと存じます。私も、病気が判明して以来、様々なストレスに直面してきました。その中でも、予想外に私の心を深く疲弊させたのが、睡眠の質の変化でした。
この記事では、病気によって睡眠がどのように変わり、それが私にどのようなストレスをもたらしたのか、そしてそのストレスとどのように向き合い、少しでも心地よい眠りを取り戻すためにどのようなことを試してきたのかについて、私の率直な体験をお話しさせていただければと思います。もし今、夜眠れないことや眠りの浅さに悩んでいらっしゃる方がいれば、私の経験がほんの少しでも、皆さまの心の重荷を軽減するヒントになれば幸いです。
病気判明と、始まった眠れない夜
病気が判明した時の衝撃と、その後の先の見えない不安は、今も鮮明に覚えています。治療のこと、仕事のこと、将来のこと。頭の中は常にこれらのことでいっぱいでした。日中は気を張っていても、夜になり一人になると、様々な思いが押し寄せてきました。
その頃から、どうにも寝つきが悪くなりました。布団に入っても、考え事ばかりしてしまい、目が冴えてしまうのです。やっと眠れたと思っても、ほんの数時間で目が覚めてしまったり、浅い眠りを繰り返したり。以前は疲れていればすぐに眠れたのに、病気になってからは「疲れているのに眠れない」という状態が続きました。
初めは一時的なものだろうと思っていましたが、それが数日、数週間と続くうちに、「明日も眠れないのではないか」という新たな不安が芽生え始めました。夜が来るのが怖くなり、寝室に向かう足取りが重くなっていったことを覚えています。
眠れないことがもたらした具体的なストレス
眠れない日々が続くと、心身ともに大きな影響が出ました。具体的なストレスとしては、以下のようなものがありました。
- 日中の疲労と集中力の低下: 睡眠不足は、物理的な疲労感として常に付きまといました。頭がぼーっとしてしまい、仕事や日常生活での集中力が続かないことが増えました。簡単なミスをしてしまったり、やるべきことを思い出せなくなったりすることもあって、自己嫌悪に陥ることもありました。
- 精神的な落ち込みとイライラ: 慢性的な睡眠不足は、私の気分を大きく左右しました。些細なことでもイライラしやすくなり、家族や友人に対しても優しく接することが難しくなりました。また、漠然とした不安感や孤独感が強まり、気分が沈むことが多くなりました。
- 「眠らなくては」というプレッシャー: 「明日を乗り切るためには、今夜こそちゃんと眠らなくては」という強い焦りを感じるようになりました。このプレッシャーがさらに眠りを妨げ、悪循環に陥っていきました。
- 病気や治療への不安の増幅: 睡眠不足で体力が落ちると、「この体で治療を続けられるのだろうか」という不安が増しました。また、「眠れないのは病気のせいなのか、それとも別の原因があるのか」と、病気そのものへの不安も大きくなっていきました。
- 周囲からの理解の難しさ: 睡眠障害は、見た目には分かりにくい辛さです。「疲れているね」と言われることはあっても、「眠れない辛さ」を具体的に理解してもらうのは難しいと感じていました。この孤独感も、ストレスの一つでした。
ストレスとどう向き合い、心地よい眠りを見つけるか
このような眠れない日々から抜け出すために、私は様々なことを試みました。最初は何とかして「眠れるようになること」だけを目指していましたが、試行錯誤する中で、「眠れない自分」を受け入れ、ストレスを軽減することに意識が変わっていきました。
試したことと、そこから学んだこと
- 「眠らなくては」という呪縛を手放す: これが最も重要でした。「〇時間寝ないとダメだ」という固定観念を捨て、「眠れない夜があっても大丈夫」と自分に言い聞かせるようにしました。無理に寝ようとせず、眠れない時間は読書をしたり、リラックスできる音楽を聴いたりすることに切り替えました。これにより、「眠れない自分=ダメな自分」という自己否定から解放され、夜に対する恐怖が少し和らぎました。
- 心地よい睡眠環境を整える: 寝室を暗く静かに保つ、寝具を快適なものにするなど、当たり前のことかもしれませんが、丁寧に実践しました。また、寝る前にぬるめのお湯にゆっくり浸かる、ハーブティーを飲むなど、心身がリラックスできるルーティンを取り入れました。これは「眠るための行動」というより、「自分を労わる時間」と捉えるようにしました。
- 日中の過ごし方を見直す: 軽い散歩など、無理のない範囲で体を動かす時間を設けるようにしました。また、昼間に強い眠気を感じても、仮眠は短時間(20分以内)にする、あるいは思い切って仮眠しないようにするなど、夜の睡眠に影響が出ないように意識しました。
- 専門家への相談: 一人で抱え込まず、医師や看護師に睡眠の悩みを打ち明けました。病気との関連や、対処法について具体的なアドバイスをもらうことができ、安心感に繋がりました。必要に応じて、睡眠導入剤のサポートを受けることについても相談しました。
- 同じ悩みを持つ人々の体験談: ストレスとの声、みんなの体験談のようなコミュニティサイトで、私と同じように睡眠に悩む人々の声に触れることができました。「自分だけではないんだ」と感じられることは、大きな心の支えになりました。他の人が実践している工夫も参考にさせてもらいました。
これらの試みを通じて、完璧な睡眠を取り戻すことは難しくても、「眠れない夜との上手な付き合い方」を少しずつ学んでいきました。眠れない自分を責めるのではなく、「今日はこういう日なんだな」と受け入れること、そして、眠れない時間をただ辛い時間と捉えるのではなく、自分と向き合う静かな時間と捉え直すことで、心は以前より穏やかになれたと感じています。
現在の心境と、読者の皆さまへのメッセージ
病気による睡眠の変化は、今でも時折私を悩ませることがあります。しかし、以前のように「眠れない=絶望」と感じることは減りました。眠れない夜も、自分を責めずに、穏やかに過ごす方法を知ったからです。
ストレスとの向き合い方は、一人ひとり、そして日によっても異なります。私にとって心地よい方法が、皆さまにとってもそうであるとは限りません。大切なのは、「〇〇しなければならない」という考えに縛られすぎず、ご自身の心と身体の声に耳を傾けながら、色々な方法を試してみることだと思います。
もし今、病気によるストレスで眠れない夜を過ごしていらっしゃるのであれば、どうかご自身を責めないでください。眠れないことは、あなたが抱えている辛さや不安の表れかもしれません。その辛さに気づき、ご自身を労わることから始めてみませんか。
眠れない夜の向こうには、きっと穏やかな朝が待っています。たとえ今は暗闇の中にいるように感じても、一歩ずつ、ご自身のペースで、心地よい眠り、そして心地よい日常を取り戻す道のりを歩んでいかれることを心から願っています。皆さまが少しでも心穏やかに過ごせる日が来ることを、同じ体験をした者として願っております。