病気で中断した活動と目標：喪失感から新しい「できること」を見つける道のり
はじめに：失われた日常と目標
病気と診断され、これまでの生活が一変したとき、多くの人が感じることの一つに「これまで当たり前にできていたことができなくなる」という辛さがあるのではないでしょうか。私自身も、病気によって活動が制限され、大切にしていた趣味や仕事、そして将来の目標まで見失いそうになり、深い喪失感とストレスを経験しました。
この記事では、私が病気によって失われたものへのストレスとどのように向き合い、そしてそこからどのように新しい「できること」を見つけ、少しずつ希望を取り戻していったのか、その体験をお話しさせていただきたいと思います。同じような状況で立ち止まっている方の、ほんの少しでもお役に立てれば幸いです。
病気判明と直後の感情：見えなくなった未来
病気が判明したとき、医師からの説明を聞きながら、最初に頭に浮かんだのは治療のことよりも、これから「何ができなくなるのだろう」ということでした。当時、私は仕事で新しいプロジェクトを任され、休日には体力を使うアクティビティや旅行を計画していました。病気は、それらすべてに待ったをかけるものでした。
診断直後は、まず強い不安と戸惑いを感じました。「なぜ自分が」「これからどうなるのだろう」という思いが頭の中を駆け巡り、眠れない夜が続きました。特に辛かったのは、これまで当たり前に持っていた「自由な体」と「見通しの立つ未来」を突然失ったように感じたことです。友人との会話についていけなくなったり、体調の波で約束をキャンセルせざるを得なくなったりすることで、孤立していくような感覚も味わいました。
具体的なストレスと向き合い方：試行錯誤の日々
病気による具体的なストレスは多岐にわたりましたが、私にとって特に大きかったのは、以下の点でした。
- 活動の制限によるフラストレーション: 体力が落ちたり、特定の動作が難しくなったりすることで、以前のように動けない自分への苛立ちを感じました。周囲が活動的に過ごしているのを見るのも辛かったです。
- 仕事や社会的な役割の変化への不安: 仕事のペースを落とさざるを得なくなり、キャリアプランが狂うことへの不安が大きかったです。社会から取り残されるのではないかという恐れもありました。
- 将来への見通しの不確かさ: 病気の進行や治療の効果が不確かな中で、長期的な目標を立てることが難しくなり、漠然とした不安に常に苛まれていました。
- 自己肯定感の低下: 「前のようにできない自分」は価値がないのではないか、というネガティブな思いにとらわれることもありました。
これらのストレスに対して、私はまず「何とか以前のように戻りたい」ともがき、無理をして体調を崩すという失敗を繰り返しました。しかし、それでは解決しないことに気づき、少しずつ向き合い方を変えていく必要性を感じるようになりました。
克服・軽減の道のり：小さな「できること」の発見
転機となったのは、「できないこと」に固執するのではなく、「今、自分にできることは何だろう」と視点を変えてみたことでした。
- 小さな目標の設定: まずは「今日は家の中を一回り歩いてみる」「椅子に座ってできる簡単な手芸を30分やってみる」など、本当に小さな目標を設定しました。クリアできる目標を設定することで、達成感を得られるようになりました。
- 体調との対話: 自分の体調の波を丁寧に観察し、良い日とそうでない日があることを受け入れました。体調が悪い日は無理せず休む勇気を持ち、良い日に「できること」を少しだけ行うようにしました。
- 新しい「できること」の探求: 以前は興味がなかった分野に目を向けてみました。読書、映画鑑賞、軽いストレッチ、オンラインでの学習、座ってできるパズルなど、今の自分の体力や状況で楽しめることを探し、リストアップしました。
- 情報の取捨選択と専門家の活用: 病気に関する情報収集は慎重に行い、信頼できる情報源に絞りました。また、リハビリの専門家やカウンセラーに相談することで、体の動かし方や心の持ち方について具体的なアドバイスを得ることができました。
- 支えとなる人との繋がり: 家族や病気を理解してくれる友人との会話は大きな支えになりました。また、同じ病気を持つ人のコミュニティに参加し、体験談を共有することで、自分だけではないという安心感と、新しい「できること」を見つけるヒントを得ることができました。
これらの試みを通して、私は「できなくなったこと」ばかりに目を向けるのではなく、「今、できること」や「これから挑戦できること」に焦点を当てることの重要性を学びました。完璧を目指す必要はなく、小さな一歩でも前に進むことで、少しずつ自信と希望を取り戻せることを実感しました。
現在の心境と読者へのメッセージ：希望は必ず見つかる
現在、私の病気は完全に治ったわけではありませんし、体調の波もあります。以前のように自由自在に活動できるわけでもありません。しかし、病気によって失われたものへの喪失感は薄れ、「今、できること」や「これからできること」に目を向けて、日々を大切に過ごせるようになりました。新しい趣味や、今の自分だからこそ気づける楽しみもたくさん見つけました。
病気によって活動や目標が制限され、辛い思いをされている方もいらっしゃると思います。見通しが立たず、孤独を感じることもあるかもしれません。でも、どうかご自身を責めないでください。そして、焦る必要はありません。
まずは、今の自分にできる小さなことを見つけることから始めてみてはいかがでしょうか。それは、ほんの短い散歩かもしれませんし、新しい本を読むことかもしれません。あるいは、誰かに今の気持ちを話してみることかもしれません。
失ったものだけに目を向けてしまう時もあるかもしれませんが、きっと、今のあなたにだからこそできること、気づける楽しみが必ずあります。このコミュニティも、その「できること」の一つとして、あなたの支えになれば幸いです。一人ではありません。一緒に、あなたのペースで、新しい光を見つけていきましょう。