病気と診断されてから、情報の洪水にどう向き合ったか:必要な情報を見つけ、心の平穏を保つ道のり
病気と診断され、情報収集を始めた方へ
病気と診断された時、私たちの心は大きな波に揺さぶられます。そして、その揺れの中で多くの方が「少しでも情報を集めたい」と思われるのではないでしょうか。インターネットを開けば、病気に関する情報が文字通り「洪水」のように押し寄せてきます。私も診断を受けた直後、まさにその情報の波に飲み込まれそうになりました。この記事では、私がどのように情報の洪水というストレスと向き合い、自分にとって本当に必要な情報を見つけ、心の平穏を取り戻していったかについて、私の体験談を共有したいと思います。
同じような状況で、情報収集に疲れや不安を感じている方の心が、少しでも軽くなるきっかけとなれば幸いです。
診断後の「情報の洪水」に感じた不安と戸惑い
病名が告げられた時、頭の中は真っ白になりました。しかし、少し落ち着くと、すぐに病気について知りたいという思いに駆られました。スマートフォンを手に取り、インターネットで病名を入力し、検索ボタンを押しました。
そこで目に飛び込んできたのは、想像を絶するほどの情報量でした。病気の基本的な情報から、様々な治療法、合併症のリスク、治療の副作用、さらには個人の体験談、代替療法、高額な健康食品の広告まで、玉石混交の情報が次々と現れます。
最初は「たくさん知ることが安心に繋がる」と思っていましたが、実際にはその逆でした。
- 情報の多さ: どこから手をつけて良いか分からず、片っ端からサイトを閲覧する日々でした。時間がいくらあっても足りません。
- 情報の質のバラつき: 公式機関や病院の情報がある一方で、根拠が不明確な情報や、個人の極端な体験談なども多く見られました。どれを信じれば良いのか判断がつきません。
- ネガティブな情報: 合併症の可能性や、治療の辛さ、将来の不確かさに関する情報に触れるたびに、漠然とした不安が具体的な恐怖に変わっていきました。「もしかしたら自分もこうなるのかもしれない」という恐れが、心を重くしました。
- 自分との状況の違い: 他の方の体験談を読む中で、自分の病状や治療計画とは違う話に触れ、かえって混乱したり、「自分はもっと大変なのかもしれない」と感じたりすることもありました。
夜遅くまでスマートフォンを眺め、不安な情報ばかり見てしまって眠れなくなったり、日中も検索のことばかり考えてしまったりと、情報収集がいつの間にかストレスの大きな源となっていました。情報を得ることで安心したかったのに、むしろ不安は増す一方だったのです。
情報ストレスとの向き合い方:試行錯誤のプロセス
情報の波に疲弊しきってしまった時、このままでは心身が持たないと感じ、情報の集め方を見直すことにしました。まさに試行錯誤の始まりでした。
まず行ったのは、「情報源を限定する」ということでした。手当たり次第に検索するのではなく、信頼できると考えられる情報源に絞ることに意識を向けました。具体的には、
- 主治医や看護師さんへの相談: 疑問に思ったことは、まず医療機関で質問することを優先しました。専門家から直接、自分の状況に合わせた正確な情報を得られることが、何よりの安心に繋がりました。
- 公的な機関や病気専門の団体のウェブサイト: 厚生労働省や、その病気に関する学会、患者会などが運営するウェブサイトは、信頼性の高い情報源です。そうしたサイトを中心に情報を集めるようにしました。
- 病気に特化した相談窓口: 専門の相談員がいる窓口に電話やメールで相談することも有効でした。
次に、「情報に触れる時間や内容をコントロールする」ことを始めました。
- 情報収集の時間を決める: ダラダラと検索し続けるのではなく、「この時間は情報収集にあてる」と時間を区切るようにしました。それ以外の時間は、趣味や休息など、心穏やかに過ごせることに時間を使うように心がけました。
- ネガティブな情報からは距離を置く: 必要以上に不安を煽るような情報や、極端に悲観的な体験談からは、意識的に距離を置くようにしました。もちろん、現実を知ることは大切ですが、自分の心がそれに耐えられないと感じた時は、無理に見ないという選択をしました。
- 情報の目的を明確にする: 何のために情報を集めているのかを自分に問いかけました。「治療の選択肢を知りたい」「日々の生活で気をつけることを知りたい」など、目的を明確にすることで、不要な情報に振り回されにくくなりました。
また、集めた情報をすぐに鵜呑みにせず、少し時間を置いて冷静に判断する癖をつけました。感情的に反応するのではなく、「これはどういう情報なのか」「出典はどこか」といった視点を持つように意識しました。
ストレス軽減に効果があったこと、心の持ち方の変化
これらの試行錯誤を通して、いくつかのことがストレス軽減に特に効果があると感じました。
一番大きかったのは、「信頼できる情報源を持つこと」です。主治医の言葉や、公的な機関の情報は、私の心の拠り所となりました。不確かな情報に一喜一憂するのではなく、確かな情報に基づいて判断できるようになることで、不要な不安が減っていきました。
次に、「情報の取捨選択を意識すること」です。全てを知る必要はない、自分にとって本当に必要な情報だけを選び取れば良い、と考えるように変わりました。これは、情報に「振り回される」立場から、情報を「活用する」立場へと意識が変わったということでもあります。
さらに、「情報から離れる時間を作る」ことの重要性も痛感しました。情報収集は大切ですが、それに疲弊してしまっては元も子もありません。情報から離れ、好きなことをしたり、リラックスしたりする時間を持つことが、心の健康を保つ上で不可欠だと気づきました。
これらの取り組みを通じて、情報の洪水に溺れそうになっていた心は、少しずつ落ち着きを取り戻していきました。病気と診断された当初は、情報に触れるたびに不安が増大していましたが、今では必要な情報を冷静に集め、適切に判断できるようになってきたと感じています。全ての不安が消え去るわけではありませんが、情報によって過度に煽られることは少なくなりました。
現在の心境と、同じ悩みを抱える方へのメッセージ
病気と診断された後、情報の海に漕ぎ出すことは避けられないかもしれません。しかし、その海は時に荒れ、私たちを疲弊させることもあります。私の経験から言えるのは、情報収集は大切ですが、それに心を支配されないことが何よりも重要だということです。
情報源を厳選し、情報に触れる時間や内容をコントロールすること。そして、何よりも信頼できる専門家の意見を大切にしてください。情報に疲れたら、無理せず休む勇気も必要です。
一人で情報の波と戦う必要はありません。もし、情報の多さや不確かさに疲れてしまった時は、誰かに話を聞いてもらったり、同じような経験をした人の声に耳を傾けたりすることも、心の平穏を取り戻す助けになるかもしれません。
必要な情報は必ず見つかります。そして、その情報はあなたの希望への道のりを照らす光となるはずです。情報の洪水の中で、自分を見失うことなく、あなた自身の心の健康も大切にしながら、必要な情報にたどり着いていけることを願っています。一人ではありません。一緒に、自分らしいペースで歩んでいきましょう。