ストレスとの声、みんなの体験談

病気になって初めて知った「人に頼る」ということ:苦手意識と向き合い、心地よい関係を築くまで

Tags: 人間関係のストレス, 頼ること, 心の持ち方, 孤独感, 自己肯定感, 体験談

病気を抱えながら日々を過ごされている皆様へ。この場所で、私の体験をお話しさせていただくことで、同じような状況にある方々の心が少しでも軽くなったり、何か新しい気づきにつながったりすれば幸いです。

私自身、数年前に病気を診断され、生活は一変しました。それまで当たり前だと思っていた「自分で何でもできる」という状態ではなくなり、人前で弱みを見せること、そして何より「人に頼る」という行為に対して、大きなストレスを感じるようになったのです。

病気判明と直後の感情

病気が判明した時、まず感じたのは強い不安と戸惑いでした。特に、これから自分の体がどうなるのか、治療はうまくいくのかといった病気そのものへの不安に加え、今までのように仕事や日常生活を送れなくなるのではないか、周囲に迷惑をかけてしまうのではないかという懸念が強く心を占めました。

私はもともと、人に弱みを見せるのが苦手な性格でした。「自分のことは自分で」という意識が強く、困った時でも人に助けを求めるより、一人で抱え込んでしまうタイプだったのです。そのため、病気によって「人に頼らざるを得ない場面が出てくるかもしれない」と考えただけで、大きなストレスを感じていました。

具体的なストレスとその向き合い方

病状が進むにつれて、身体的な辛さから、これまでのように動けなくなったり、集中力が続かなくなったりすることが増えました。例えば、少し重いものを持つのが辛い、階段を上るのに時間がかかる、会議中に疲れが出てしまう、といった具体的な変化です。

このような時、周囲の人が「手伝いましょうか」「大丈夫ですか」と声をかけてくださることもありました。しかし、私は反射的に「大丈夫です」と答えてしまうことがほとんどでした。それは、相手に負担をかけたくないという気持ちはもちろんのこと、「自分でできないことを認めたくない」「弱くなった自分を見られたくない」という、強い抵抗感があったからです。

結果として、無理をして後で体調を崩したり、一人で抱え込んでしまい精神的に追い詰められたりすることも少なくありませんでした。人に頼れないことで、孤独感を一層強く感じることもありました。「なぜ自分は、素直に助けを求められないのだろう」と、自分を責める時期もありました。

家族や親しい友人にも、体調について詳しく話すのをためらっていました。心配をかけたくないという思いと同時に、病気によって自分が変わってしまったことを知られるのが怖い、という気持ちがあったのだと思います。そのため、体調が悪い時でも「元気だよ」と無理に明るく振る舞い、そのギャップに一人で苦しむこともありました。

克服・軽減の道のり

このような状況が続いたある時、私の無理を見抜いた友人が、何も言わずにただ隣に座っていてくれたことがありました。その時、張り詰めていた心がふっと緩むのを感じたのです。完璧でなくても、強く見せなくてもいいのかもしれない、と初めて思えました。

これがきっかけとなり、私は少しずつ「人に頼る」ことへの考え方を変えていこうと決意しました。まず意識したのは、「小さな『助けて』を練習する」ということです。例えば、飲み物を取ってもらう、少しの間座らせてもらうなど、本当に些細なことから試してみました。

驚いたことに、頼まれた側は案外気にしないどころか、喜んでくれる人もいるということに気づきました。私が「大丈夫です」と遠慮することで、かえって相手に「力になれなくて申し訳ない」と思わせていたのかもしれない、と考えるようにもなりました。

また、病気について信頼できる人に少しずつ話すようにしました。全てを理解してもらうのは難しくても、今の自分の状態や、できること・できないことを正直に伝えることで、お互いの間に信頼関係が生まれるのを感じました。体調が悪い時に「今日は少し辛いんだ」と伝えられるようになったことで、無理な誘いを断ったり、ペースを調整したりすることもできるようになり、精神的な負担が大きく減りました。

「頼ることは弱さではなく、人との繋がりを育むこと」だと考えられるようになったのも、この頃からです。人は誰でも、完璧ではありません。お互いに支え合いながら生きているのだと、病気が教えてくれたように感じています。助けを求めることは、相手への信頼の表明であり、感謝の気持ちを伝えることで、その繋がりはさらに強固になるのだと実感しました。

現在と読者へのメッセージ

現在、私は病気と付き合いながら、以前よりも心穏やかに過ごせる日が増えました。もちろん、体調の波はありますし、人に頼ることに全く抵抗がなくなったわけではありません。それでも、「大丈夫です」と無理に強がるのではなく、「少しお願いしてもいいですか」と言えるようになったことは、私にとって大きな変化でした。

人に頼ることで、一人では乗り越えられなかった困難を乗り越えられた経験もたくさんあります。そして何より、素直な自分を見せられるようになったことで、家族や友人との関係が以前よりも深くなったと感じています。

もし今、病気による体調の変化で人に頼らざるを得なくなり、戸惑いや申し訳なさ、あるいは頼ることへの苦手意識を感じていらっしゃる方がいましたら、どうか自分を責めないでください。それは決して、あなたが弱いからではありません。

焦る必要はありません。まずは、本当に些細なことから、信頼できる身近な人に「少しだけお願いしてもいいですか」と声をかけてみる練習から始めてみるのはいかがでしょうか。もし難しければ、言葉にしなくても、つらそうな表情をしてみるだけでも、伝わることはあるかもしれません。

病気を通して、人は時に助けを必要とする存在なのだと、私は改めて学びました。そして、助けること、助けられることの温かさも知りました。頼ることは、弱さを隠すことではなく、人との絆を深めるための、勇気ある一歩だと私は信じています。

病気と共に歩む道のりは、一人で全てを抱え込む必要はありません。あなたが心地よくいられる関係を、少しずつでも築いていかれることを心から願っています。