療養生活の閉塞感とどう向き合ったか：自宅や病院の環境で心地よさを見つける体験談
療養生活の閉塞感と向き合い、心地よさを見つけるまでの道のり
病気を抱える皆さま、そして今まさに療養生活を送られている皆さまへ。
このサイトを訪れてくださっているということは、もしかしたら今、病気による身体の辛さに加え、先の見えない不安や、心を取り巻く様々なストレスと闘っていらっしゃるかもしれません。私自身も、病気が判明してからの日々は、体調の変化だけでなく、それまで当たり前だった生活が一変したことによるストレスに大きく揺さぶられました。
今回は、特に「療養生活」という特定の環境下で感じた、目には見えにくいけれど確かに存在する閉塞感や環境によるストレスと、私がそれにどう向き合い、自分なりに心地よく過ごすための工夫を見つけていったかについて、私の体験をお話しさせてください。
病気判明と、始まった療養生活
病気が判明した時、まず感じたのは強い不安と戸惑いでした。これから始まる治療への怖さ、将来への見通しが立たないことへの心細さ。それらに加えて、すぐに始まった自宅での療養、そして何度かの入院生活は、物理的な環境が大きく変わることを意味しました。
それまで活動的に過ごしていた私にとって、生活空間が限られることは想像以上のストレスとなりました。自宅でも、自由に外出できない。病院では、見慣れない部屋とベッド、変わらない天井や壁。最初は「治療のためだから仕方ない」と割り切ろうとしていましたが、日々の積み重ねの中で、徐々に心が重くなっていくのを感じました。
具体的なストレスとその向き合い方
療養生活で感じたストレスは、身体的な辛さとはまた異なる種類のものでした。それは主に、以下のような点から来る「閉塞感」だったように思います。
- 視覚的な変化のなさ: 毎日同じ景色、同じ天井。外の空気を吸えない、季節の移り変わりを肌で感じられない。
- 行動の制限: 行きたい場所に行けない、やりたいことがすぐにできない。自分のリズムで動けない。
- 単調さ: 刺激の少ない日々。時間の流れがゆっくりに感じられ、目的意識を持ちにくい。
- 社会からの隔絶感: 周囲が普段通りの生活を送っている中で、自分だけが切り離されているような感覚。
これらの環境によるストレスは、精神的な落ち込みをさらに深める要因となりました。特に病状が安定しない時期は、身体の不調と心の閉塞感が相まって、「この状況から抜け出せないのではないか」というネガティブな思考に囚われることもありました。
このストレスに対して、私はまず「これは身体の辛さだけでなく、環境からくるストレスなんだ」と認識することから始めました。そして、限られた環境の中でも、何か自分にできることはないか、試行錯誤を始めました。
最初は無理に明るく振る舞おうとしたり、「退院（療養終了）したらあれをしよう、これをしよう」と先の楽しみばかり考えたりしましたが、目の前の単調さや閉塞感から目を逸らすことはできませんでした。むしろ、「今できないこと」に意識が向き、余計に辛くなることもありました。
閉塞感を和らげ、心地よさを見つける道のり
試行錯誤を重ねる中で、特に効果があったのは、環境そのものに少しずつ変化を加えること、そして「今、ここでできること」に意識を向けることでした。
自宅での療養中、まずは部屋の模様替えを試みました。ベッドの向きを変えたり、カーテンの色を変えてみたり。小さな変化ですが、見える景色が変わるだけで、驚くほど気分転換になりました。病院のベッド周りでも、お気に入りの写真や小さな飾りを置かせてもらうなど、自分だけの「心地よい空間」を作る工夫をしました。
また、五感に働きかけることも大切だと気づきました。好きな音楽を聴いたり、アロマを焚いたり、肌触りの良いブランケットを使ったり。限られた空間の中でも、感覚を通じて心地よさを取り入れることで、閉塞感が和らぐのを感じました。
さらに、デジタルツールを活用して外部と繋がることも大きな支えになりました。家族や友人とビデオ通話をするのはもちろん、オンラインのコミュニティに参加してみることも、社会から隔絶されているという感覚を和らげるのに役立ちました。同じような状況にある人たちの声を聞くことで、「自分だけではない」という安心感を得ることができました。
そして最も重要だと感じたのは、「大きな変化」ではなく「小さな楽しみ」を見つけることでした。例えば、窓から見える空の色をじっと観察する時間を持つ、新しいお茶を淹れてみる、ベッドの上でできる軽いストレッチを取り入れる、お気に入りの本や映画に没頭する。一つ一つは小さなことですが、意識的に「心地よい」と感じる瞬間を積み重ねることで、単調だった日々に少しずつ彩りが生まれていきました。
これらの工夫を通じて、私は環境に「閉じ込められている」と感じることから、「この環境の中で、どうしたら少しでも心地よく過ごせるだろう」と考える方へと意識を転換できるようになりました。完全に閉塞感がなくなるわけではありませんが、それに囚われすぎず、自分自身の内側や、身近な小さな変化に目を向けられるようになったのです。
現在の心境と、読者の皆さまへのメッセージ
今も療養生活は続いていますが、以前のように閉塞感に押しつぶされそうになることは減りました。それは、環境そのものが大きく変わったからではなく、その中で自分なりに心地よさを見つける方法を知り、実践しているからです。
もし今、あなたも療養生活の中で、身体の辛さに加えて、環境による閉塞感や単調さ、そしてそこから来る精神的なストレスを感じていらっしゃるなら、どうかご自身を責めないでください。それは、とても自然な感情だと思います。
そして、もし少しでも心に余裕があれば、あなたの今いる空間に、ほんの小さな変化を加えてみることを試してみてはいかがでしょうか。視覚、聴覚、嗅覚、触覚…五感のどこかに働きかける小さな工夫でも、日常に新しい風を吹き込むきっかけになるかもしれません。あるいは、デジタルでも良いので、外部との繋がりを持ってみることも、心の閉塞感を和らげるのに役立つかもしれません。
大きなことでなくて良いのです。あなたが「少しでも心地よいな」と感じられる瞬間を、一つでも多く見つけていくこと。それが、この限られた環境の中でも、自分らしいペースで心を整え、希望を見失わずに過ごしていくための大切な一歩になるのではないかと、私は自身の体験から感じています。
一人で抱え込まず、もし話せる場所があれば、感じている閉塞感を誰かに聞いてもらうことも力になるでしょう。この「ストレスとの声、みんなの体験談」も、その一つの場所になれたら嬉しく思います。
あなたの療養生活が、少しでも心穏やかで、心地よい時間になりますよう、心から願っています。