診断後に感じた、自分自身の「内面の変化」への戸惑い:感情や思考の変化とどう向き合ったか
はじめに:病気がもたらした、自分自身の変化への戸惑い
この度は、「ストレスとの声、みんなの体験談」にお越しいただき、ありがとうございます。
病気を抱えながら日々を過ごされている皆様の中には、診断や治療をきっかけに、身体だけでなく、心や考え方にも変化を感じ、「以前の自分と違う」という戸惑いや不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。私も、病気と向き合う中で、自分の内面が以前とは変わってしまったように感じ、大きなストレスを経験しました。
ここでは、私が感じた内面の変化と、その戸惑いにどのように向き合っていったのかについて、率直にお話しさせていただきます。私の体験が、同じような状況にある方の心の負担を少しでも和らげ、ご自身の変化と向き合うためのヒントとなれば幸いです。
病気が判明した時、そして心に芽生えた違和感
私が病気を診断されたのは、数年前のことです。告知を受けた時の衝撃と、その後の治療に対する不安は、今でも鮮明に覚えています。しかし、それと同時に、以前はあまり感じたことのなかった、別の種類の感情が心の中に芽生えていることにも気づき始めていました。
例えば、以前は比較的楽観的で、多少のことでは動じない性格だと思っていました。しかし、病気のことが頭から離れなくなり、些細な体調の変化にも過敏に反応して、すぐに強い不安を感じるようになったのです。また、治療の副作用や体力の低下から、以前は楽しめていた友人との会話や趣味にも心から集中できなくなり、どこか上の空になってしまう自分にも気づきました。
具体的に感じた内面のストレスと、その正体への模索
病気による内面の変化は、私にとって予期せぬストレスでした。具体的には、以下のような変化に戸惑いました。
- 感情の不安定さ: 以前よりも気分が落ち込みやすくなり、理由もなく涙が出たり、ちょっとしたことでイライラしたりすることが増えました。感情の波が激しく、自分自身でもコントロールできないように感じて辛かったです。
- 思考のネガティブ化: 最悪のシナリオばかりを考えてしまったり、「どうせ自分には無理だ」とすぐに諦めてしまったりと、考え方がネガティブな方向へ傾いていきました。以前のような前向きな思考が難しくなり、「自分は弱くなってしまったのだろうか」と感じました。
- 集中力・判断力の低下: 治療による影響もあったかもしれませんが、以前のように物事に集中することが難しくなりました。簡単な決断にも時間がかかり、自分の能力が衰えてしまったのではないかという不安を感じました。
- 人間関係での戸惑い: 自分の心の状態をうまく言葉にできず、周囲とのコミュニケーションに壁を感じることがありました。また、以前は楽しかったはずの社交的な場でも、疲労感や気分の落ち込みから、うまく振る舞えない自分に嫌悪感を抱くこともありました。
これらの変化は、病気そのものによるストレスに加え、「以前の自分ではない」という喪失感や、「このまま変わってしまったらどうしよう」という将来への不安を増幅させました。自分の内面で何が起きているのかが分からず、まるで自分が自分でなくなってしまったような感覚に陥り、孤独を感じました。
戸惑いを乗り越え、変化と向き合う道のり
この内面の変化への戸惑いを軽減するために、私はいくつかのことを試みました。
まず、自分の感じている感情や思考を正直に受け止めることから始めました。「こう感じるのはおかしい」「以前の自分ならこんな風に思わないのに」と否定するのではなく、「今はこう感じているんだな」と、ありのままの自分を観察するように努めました。これは、病気による身体の症状を受け入れるのと同じように、心の変化も病気の一部として理解しようとする試みでした。
次に、信頼できる家族や友人に、自分が感じている心の変化について話してみました。言葉にするのは勇気がいりましたが、話すことで自分の感情が整理され、また、話を聞いてくれた人たちが「大変だったね」「そういう風に感じるのも無理ないよ」と共感してくれたことで、孤独感が和らぎました。
さらに、病気によって変化した自分の内面について、少しずつ理解を深めるために、関連する書籍を読んだり、心理学的なアプローチ(例えば、認知行動療法の簡単な考え方など)について学んでみたりしました。自分が感じているネガティブな感情や思考のパターンには、病気という特殊な状況が影響している可能性があることを知ることで、自分を責める気持ちが軽減されました。
最も効果があったと感じるのは、同じ病気を経験した方々の体験談に触れたことです。私と同じように、心の変化に戸惑い、悩んでいた方がいることを知り、大きな共感を得ることができました。「自分だけではなかったんだ」という安心感は、何物にも代えがたいものでした。皆さんがどのようにその変化と向き合い、乗り越えていったのかを知ることは、具体的なヒントとなり、私自身の試行錯誤を後押ししてくれました。
現在、そして同じ悩みを抱える皆様へ
現在、私は病気による内面の変化と、ある程度上手く付き合えるようになってきたと感じています。完全に以前の自分に戻ったわけではありませんし、感情の波が全くなくなったわけでもありません。しかし、「以前の自分ではないこと」を嘆くのではなく、「これが今の自分なんだ」と受け入れることができるようになりました。
心の変化は、病気という大きな出来事が、私自身の内面を深く見つめ直すきっかけを与えてくれたのだと捉えています。ネガティブな感情も、無理に排除しようとするのではなく、「今の自分が感じていること」として認め、「なぜそう感じるのだろう」と問いかけることで、自分自身のことをより深く理解できるようになりました。
もし、あなたが病気によって自分の内面が変わってしまったと感じ、戸惑いや不安を抱えているなら、どうかご自身を責めないでください。そのような変化を感じることは、病気と向き合う過程においては決して珍しいことではないと思います。
あなたの感じている感情や思考は、決して間違いではありません。まずはその気持ちを否定せず、「今はこう感じているんだな」と受け止めることから始めてみませんか。そして、もし可能であれば、信頼できる誰かに話してみたり、同じ経験を持つ人たちの声に耳を傾けてみたりすることも、心の負担を和らげる一助になるかもしれません。
病気は私たちに様々な変化をもたらしますが、その変化を通して、私たちは新しい自分自身に出会ったり、以前は気づけなかった自分の側面を発見したりすることもあるかもしれません。焦らず、ご自身の心に優しく寄り添いながら、一歩ずつ、今の自分自身と向き合っていく道を歩んでいかれることを願っています。あなたの心が、少しでも穏やかであることを心から願っています。