ストレスとの声、みんなの体験談

体調が悪いのに「大丈夫」と言ってしまう癖:無理に明るく振る舞うストレスと、素直な自分になるまで

Tags: 心のストレス, 人間関係, 自分を受け入れる, 病気と向き合う, 本音

病気と診断されてから、「元気な自分」を演じるようになった

病気と診断されたとき、私は大きなショックと同時に、これまで経験したことのない強い不安に襲われました。これからどうなるのだろう、治療はうまくいくのだろうか、と先の見えない状況に心がざわつきました。

その一方で、私は「病気になった弱い自分を見せたくない」という気持ちも強く抱いていました。家族や友人、職場の同僚に心配をかけたくない、できれば今までと変わらない「元気な自分」でいたい。そんな思いから、体調が優れない時でも、つい「大丈夫だよ」「元気だよ」と答えてしまう癖がついていったのです。

「大丈夫」の裏側で募るストレス

無理に明るく振る舞うことは、想像以上に心身に負担をかけました。例えば、身体的な疲労が強い日でも、周りに気づかれないように笑顔を作り、いつも通りを装います。これは、体力を消耗するだけでなく、心もひどくすり減らしていく行為でした。

また、「本当は辛い」という本音を隠し続けることは、深い孤独感を生みました。誰にも本当の気持ちを話せない、理解されないという感覚です。周りの人は私の「大丈夫」という言葉を信じ、「元気になったんだね」と声をかけてくれますが、そのたびに「本当は違うのに」という罪悪感や、「このままでは適切な配慮も受けられないかもしれない」という不安を感じていました。

このようなストレスは、やがて私の心に影を落とすようになりました。常に「元気な自分」を演じ続けなければならないというプレッシャーは重く、家に帰るとどっと疲れが出て、何もする気になれない日が増えました。

試行錯誤と、気づき

この状況から抜け出したいと思いながらも、どうすれば良いのか分かりませんでした。最初は、もっと上手に「元気なふり」をしようとしたり、一人で乗り越えようと意地になったりもしました。しかし、それは一時しのぎにしかならず、根本的なストレスは解消されません。

ある日、無理がたたって体調を大きく崩し、どうしても「大丈夫」と言えない状況になりました。その時、思い切って信頼できる友人に、これまでの辛かった気持ちや、「大丈夫」と言ってしまう癖について話してみたのです。すると友人は、私の話をただじっと聞いてくれ、「辛い時は辛いって言っていいんだよ。無理しないでね」と言ってくれました。

その言葉を聞いたとき、私の心の中で何かが溶けていくのを感じました。「元気なふりをしても、私の本当の辛さは誰にも伝わらない。それどころか、自分で自分を追い詰めているだけかもしれない」と気づいたのです。そして、「弱さを見せることは、恥ずかしいことではないのかもしれない」と少しずつ思えるようになりました。

ありのままの自分を受け入れる道のり

この気づきをきっかけに、私は少しずつ変わる努力を始めました。まずは、自分の体調や気持ちに正直になる練習です。すぐに完璧にはできませんでしたが、体調が悪い時は「今日は少し疲れています」と正直に伝えてみたり、気分が乗らない時は無理に誘いに乗らないようにしたりと、小さなことから始めてみました。

最初は、正直に話すことに抵抗や怖さがありました。これでがっかりされるのではないか、心配されすぎるのではないか、という不安です。しかし、実際に正直に話してみると、周りの人は意外とすんなりと受け止めてくれました。そして、ありのままの自分を受け入れてくれる人たちの存在が、何よりもの支えとなりました。

「大丈夫じゃない時は、大丈夫じゃないと言っても良い」と自分に許可を出せたことは、大きな変化でした。完璧な自分でなくても良い、弱い部分があっても良い、病気になった自分でも価値があるのだと、少しずつ自己受容を進めることができるようになったのです。無理に明るく振る舞うのをやめたことで、心身の緊張が和らぎ、以前よりずっと楽に呼吸ができるようになったように感じています。

同じような悩みを抱えるあなたへ

今でも、体調や気持ちの波はありますし、つい「大丈夫」と言いそうになる瞬間もあります。しかし、以前のように無理に自分を偽ることは少なくなりました。ありのままの自分を受け入れ、体調や心に正直に生きることが、どれほど自分を大切にすることにつながるのかを実感しています。

もし、あなたも体調が悪くても無理に元気なふりをしてしまうことで苦しさを感じているなら、どうか自分を責めないでください。それは、周りを思いやる優しい気持ちからくる行動かもしれません。でも、あなたの心と身体は、あなたの素直な声を聞くことを待っています。

弱さを見せることは、決して恥ずかしいことではありません。信頼できる人に少しだけ本音を話してみることから始めてみませんか。あなたは一人ではありません。あなたのありのままの価値は、病気や体調によって変わるものではないのですから。あなたが、少しでも心穏やかに過ごせるようになることを、心から願っています。