治療と通院がもたらした生活リズムの乱れ：自分らしいペースを見つける道のり
はじめに：治療や通院がもたらす生活の変化
病気と診断され、治療が始まると、それまでの生活リズムが大きく変わることがあります。特に通院が必要な治療の場合、定期的な病院への訪問や、治療後の体調の変化によって、予期せぬ形で時間が制約され、日々のスケジュールを立てるのが難しくなることは少なくありません。私自身も、病気が判明し、治療を開始してから、この「時間」や「生活リズム」に関するストレスに直面しました。
この体験談では、治療や通院が私の生活にもたらした具体的なストレスと、それに対して私がどのように向き合い、自分にとって心地よいペースを見つけられるようになっていったかをお話ししたいと思います。もし今、同じように治療や通院による生活の変化に戸惑いやストレスを感じている方がいらっしゃいましたら、私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。
病気判明と直後の時間への不安
病気の診断を受けた時、頭の中は今後の治療や病気そのものへの不安でいっぱいでした。それと同時に、これから始まる通院や治療のスケジュールを想像し、「仕事はどうなるのだろう」「自分の時間や、やりたいことは確保できるのだろうか」といった、具体的な生活への影響についても強い不安を感じました。
特に、これまではある程度自分で時間をコントロールできていると感じていたのに、これからは病院の予約や治療の副作用などに左右される日々が来るのかと思うと、自分の人生の舵が自分ではない何かに握られてしまったかのような感覚になり、それがさらに不安を募らせました。
具体的な時間とリズムのストレス、そして試行錯誤
病気や治療によって生じた時間や生活リズムに関するストレスは多岐にわたりました。
まず、通院日そのものです。病院までの移動時間、受付から診察、検査、処置、会計、薬の受け取りに至るまでの待ち時間を含めると、あっという間に半日、時には一日が終わってしまいます。治療後は疲労感や倦怠感があることも多く、帰宅してもすぐに活動するのは難しい日もありました。
また、治療スケジュールによって仕事の調整が必要になったり、友人との約束をキャンセルしたり、趣味に充てる時間が削られたりすることもストレスでした。予定を立てても、急な体調の変化で変更せざるを得ないこともあり、「計画通りに進められない自分」に苛立ちを感じることもありました。
さらに、病気によって体力が落ちたことで、同じ時間があっても以前のように活動できなくなったことも、時間に対する感覚を大きく変えました。焦りや、「もっと何かできるはずなのに」という自己否定のような気持ちが芽生えることもありました。
このようなストレスに対して、私は様々な試みをしました。最初は、以前と同じように多くの予定を詰め込もうとして、無理をして体調を崩してしまうこともありました。治療日以外で遅れを取り戻そうと焦ってしまい、心身ともに疲弊することもありました。
スケジュール帳に細かく「病院」「休息」「仕事」と書き込んで、完璧に管理しようとした時期もありますが、予期せぬ体調不良や待ち時間などで狂ってしまい、かえってそれがストレスになりました。
ストレス軽減のきっかけと、心の持ち方の変化
試行錯誤の中で、私にとって効果があったと感じる考え方や行動がいくつかあります。
一つ目は、「時間は管理するものではなく、大切に『過ごす』もの」と捉え方を変えたことです。完璧なスケジュール管理を手放し、その日の体調や状況に合わせて柔軟に過ごすことを意識しました。通院日の待ち時間も、以前は無駄な時間だと感じていましたが、読書をしたり、好きな音楽を聴いたり、静かに自分の内面と向き合う時間として捉え直すことで、少し気持ちが楽になりました。
二つ目は、「完璧を目指さないこと」を自分に許可したことです。病気によってできることが限られる時があるのは自然なことだと受け入れ、無理に以前と同じレベルで家事や仕事をこなそうとすることをやめました。優先順位をつけ、本当に大切なことだけに集中するようにしました。
三つ目は、周囲に自分の状況を正直に伝える勇気を持ったことです。職場や親しい友人、家族に、治療の状況や体調について話すことで、協力を得られたり、予定の変更をお願いしやすくなったりしました。「言わないと伝わらない」という当たり前のことに気づき、一人で抱え込まないことの重要性を学びました。
四つ目は、病気のコミュニティに参加したことです。同じような経験を持つ人たちの話を聞くことで、私だけがこのような時間やリズムのストレスを感じているのではないと知り、孤独感が軽減されました。他の人がどのように工夫しているかを聞くことも、新たなヒントになりました。
そして何より、「休息も大切な活動の一部である」と認識し、自分を労わる時間を積極的にスケジュールに組み込むようになったことが大きいです。疲れている時は無理をせず休む、短い時間でも楽しめることを見つけてリフレッシュするなど、自分を大切にする時間を持つことが、結果的に時間と上手に付き合う上で最も効果的でした。
現在の心境と、読者の皆様へのメッセージ
現在、私は病気と向き合いながら、以前よりはるかに自分らしいペースで生活できていると感じています。もちろん、治療や通院による時間的な制約が全くなくなったわけではありません。体調が思うようにいかない日もあります。しかし、「限られた時間の中で、自分にとって何が大切か」を常に問い直し、それに沿って時間を使うことを意識するようになりました。
病気を通して、時間の価値や、自分自身の心と体の声に耳を傾けることの重要性を深く学びました。失われた時間や、思うようにいかないことばかりに目を向けるのではなく、今できること、今ある時間に感謝する気持ちを持つことも、心の平穏に繋がることを実感しています。
もし今、治療や通院によって生活リズムが乱れ、時間的なストレスを感じていらっしゃる方がいれば、どうかご自身を責めないでください。それは決してあなたのせいではありません。そして、完璧を目指す必要はありません。小さな工夫から始めてみること、周囲に頼ってみること、そして何よりご自身の心と体を大切にすることを優先してみてください。
時間は有限ですが、その中でどのような時間を過ごすかは、自分自身で選ぶことができます。焦らず、ご自身のペースで、一歩ずつ、心地よいと思える時間を見つけていってください。あなたは一人ではありません。この場所で、共に経験を分かち合い、支え合いながら、少しずつ前へ進んでいきましょう。