ストレスとの声、みんなの体験談

病気がもたらした感情のジェットコースター:予測不能な心の揺れとどう向き合ったか

Tags: 病気, ストレス, 感情の波, 心の変化, 体験談

病気による感情の波、それは突然に

このサイトをご覧になっている皆様、はじめまして。私は今、病気と共に日々を過ごしています。病気を抱えることは、身体的な辛さだけでなく、心にも大きな影響を与えるものと感じています。特に、診断後に私が最も戸惑い、苦労したことの一つに、「感情のコントロールが難しくなった」という変化がありました。

以前は比較的落ち着いていられた感情が、病気になってからはまるでジェットコースターのように予測不能な揺れを見せるようになったのです。診断を受けたばかりで、これからどうなるのだろうという不安、治療への恐れ、周囲への申し訳なさなどがごちゃ混ぜになり、自分でも説明できないような感情に振り回される日々が始まりました。この体験が、同じような状況にある方々の、何か少しでもヒントになればと思い、今回私の体験をお話しさせていただきます。

診断直後の戸惑いと、具体的なストレス

病名が確定した時、正直な気持ちは「なぜ自分が」という戸惑いと、「これからどうなってしまうのだろう」という強い不安でした。医師からの説明を聞いても、頭の中で整理がつかず、ぼうぜんとしていたことを覚えています。

その直後から、私の心は目まぐるしく変化し始めました。突然理由もなく涙が止まらなくなったり、些細なことで家族やパートナーにイライラをぶつけてしまったりすることが増えたのです。また、将来への漠然とした不安からくる焦燥感や、病気になった自分は価値がないのではないかという無力感に襲われることもありました。

これらの感情は、それまでの私にはあまり経験のない、予測不能なものでした。体調が少し良い日でも突然落ち込んだり、逆に辛い状況なのに妙に高揚してしまったりすることも。これらの感情の波は、身体の痛みやだるさとはまた違う種類のストレスとなり、自分自身が自分でないかのような感覚に陥り、非常に孤独を感じました。

感情の波への向き合い方、試行錯誤のプロセス

最初は、感情が揺れるのは病気になったから仕方がない、あるいは自分が弱いからだと思っていました。湧き上がるネガティブな感情を抑え込もうとしたり、無理にポジティブに考えようとしたりしましたが、それは逆効果でした。抑え込んだ感情は別の形で爆発し、無理なポジティブ思考は「本当は辛いのに」という自己否定につながったからです。

また、感情の理由を探すことにも疲れました。「なぜこんなに悲しいのだろう」「どうしてこんなにイライラするのだろう」と考え込んでも、明確な答えは見つからず、さらに混乱するだけでした。

このままではいけないと感じ、少しずつ感情の波との向き合い方を変えていきました。まず始めたのは、「感情を観察すること」です。ノートにその時感じている感情を書き出してみたり、心の中で「ああ、今自分は悲しいと感じているんだな」「不安になっているんだな」と、まるで他人の感情を観察するかのように距離を置いて見てみる練習をしました。これは、感情に飲み込まれるのではなく、感情と自分を切り離す練習になりました。

次に、信頼できる身近な人に、正直な気持ちを話すように心がけました。最初は理解されないのではないかという恐れがありましたが、勇気を出して「今、理由もなくすごく不安なんだ」と話してみると、相手はただ黙って聞いてくれたり、「そうなんだね」と寄り添ってくれたりしました。話すことで感情が整理され、一人ではないと感じられたことは大きな支えになりました。

さらに、専門家(カウンセラー)に相談することも検討しました。これはまだこれから、という段階ですが、病気による心の変化について知識を持つ専門家と話すことで、感情の揺れが病気や治療の影響である可能性を知り、自分だけがおかしいのではないと理解できただけでも、心が軽くなるのを感じました。

ストレスとの新しい付き合い方と、心の変化

これらの試みの中で、特に効果があったと感じるのは、「感情は『感じるもの』であり、『コントロールするもの』ではない」という考え方を受け入れられたことです。感情は天候のように、晴れたり曇ったり、雨が降ったり雷が鳴ったりするものだと捉えるようになりました。そして、どんな感情も「悪い感情」ではなく、ただ「存在する感情」なのだと認識することで、自分を責めることが減りました。

感情の波が来ても、「ああ、また来ているな」と認め、無理に抵抗せず、過ぎ去るのを待つという感覚を掴み始めました。もちろん、今でも辛い感情に圧倒されそうになることはありますが、以前のようにパニックになることは減りました。

また、心身のセルフケアの重要性を再認識しました。十分な睡眠、バランスの取れた食事、軽い運動など、身体を労わることが、心の安定にもつながることを実感しました。予測不能な感情に振り回されそうになった時は、温かい飲み物を飲む、好きな音楽を聴く、短い時間でも横になるなど、五感を意識した心地よい行動を一つでも取り入れるようにしています。

今の心境と、読者の皆様へ

現在の私は、感情の波が完全になくなったわけではありません。病気と共にある以上、心の揺れはこれからも続くことでしょう。しかし、以前のようにその波に飲み込まれて溺れそうになることはなくなりました。波が来ても、「大丈夫、これは一時的なものだ」と思える強さが、少しずつ育ってきたように感じています。

もし、あなたが今、病気による身体的な辛さだけでなく、感情のコントロールが難しくなったり、理由もなく心が大きく揺れたりして、「自分はおかしくなってしまったのではないか」「このままどうなってしまうのだろう」と不安を感じているのであれば、あなたは決して一人ではないということを伝えたいです。

その感情は、病気という非日常的な状況に対する、あなたの心が懸命に適応しようとしているサインかもしれません。それはあなたの弱さではなく、むしろあなたが懸命に生きている証拠なのだと思います。

無理に感情を抑え込んだり、理由を探したりする必要はありません。まずは「今、こんな感情を感じているんだな」と、その感情をそのまま受け止めてみてください。そして、もし話せる人がいるなら、その気持ちを少しでも言葉にしてみてください。言葉にすることで、感情は少しずつ形を変え、扱いやすくなることがあります。

焦る必要はありません。感情の波との付き合い方は、試行錯誤しながら少しずつ見つけていくものです。自分に合った方法を、一つずつ試してみてください。小さな一歩でも、必ず心の平穏へとつながる道が見えてくるはずです。

この体験談が、あなたの心が少しでも穏やかになるための一助となれば幸いです。私たちは一人ではありません。共に、この道のりを歩んでいきましょう。